ラノベ書きました☆今回は完結の後編です。
前編は www.mineko1968.com/koisuru_imi_1/
中編は www.mineko1968.com/koisuru_imi_2/
前回までのあらすじ:地方住みの平凡なOL・ユウカは、都会のイケメン営業マン・ヒロ君とひょんな成り行きで知り合い、恋に落ちる。 初デートの日、ユウカはヒロ君に勧められるまま、彼の会社の展示会で高額ダイヤを購入したが、デート商法であったことが判り、絶望の末自殺を図る。 あの世往きの待機場所のカラオケBOX?で、死別した父・黒岩と再会。ユウカは父のゴリ押しと管理人の助力で、時間が巻き戻ったこの世に生還出来ることとなる。 ただし、カラオケBOXでの記憶は全てリセットされる為、白紙の状態でユウカは「あの日」に戻ることを決意。とにかく生きて行くことを誓うが…。
あちゃーw。
あらすじにするとやっぱりベタですねえ。どこのレディコミ × 異世界マンガってかw。
でも、こーゆー昭和的な流れ好きなんですよ。大映ドラマとかね…。
令和の今だと、どうなんでしょね?最近テレビ見てないので、わかりませんが…。
いいドラマとか有ったら、教えて下さーい。
主な登場人物
ユウカ(黒岩優花) : 地方住みの平凡な会社員。複雑な家庭で育つ。男性とのお付合い経験ほぼナシ。
ヒロ君(広海黎也) : 東京在住。ジュエリー会社勤務の営業マン。イケメンだがデート商法に関わっている。
ユウカ両親 : 父・黒岩氏。経営する会社の作業現場で事故死する。口とガラと洋服センスが⤵⤵⤵。母はユウカ幼少時に生き別れ。
カラオケBOX管理人 : 来店者の世話役案内人。ユウカ父に弱みを握られてる。
リベンジ ✕ リターンズ!!!
…ん?
…私、ぼーっとしてる?

ここって…?
あのショッピングモールだ。ヒロ君と初めて会った場所。
あれ?どうしてここに?
そうだった。
買ったダイヤがニセモノかどうか、確かめたかったんだよね…。
私は意を決してリサイクルショップに入った。
「あの…。」
「はい?」
カウンターに居た、品の良い女性が応対してくれた。

まずは来店カルテに氏名・年齢等を記入して、女性に渡す。
女性はカルテに目を通した途端に「…少しお待ちください。」と、戸惑う表情で奥に引っ込んでしまった。
なんか、裏でバタバタしている?気のせいかな…?そして、かなり待たされてしまった。
やっぱり、イミテーションだったのかな?
だったら、どうしよう?私、悪くないよね…。
色んな思いが頭の中をぐるぐる回る。

そして、さっきの女性ではなく、店長らしきスーツ姿の年配の男性がやって来た。
「お待たせして申し訳ございません!あの…失礼ですが…このダイヤはお客様所有のもので?」
男性が怪訝な顔で問いかける。
「はい。先月、知人の…お店で買いました。これ、鑑定書です。あの…何か、問題でも?」
やっぱり、ニセモノだったんだ、どうしよう。
「お客様、こちらは…」
それぞれの想い
カラオケルームでひそひそと喋る、オジサン二人。
「しかし!あの詐欺男、やり方が姑息すぎんか?飲み物に睡眠薬を混ぜて眠らせとる間に、本物とニセモンをすり替えるとか…。」
「なので、せめてユウカさんの手許に本物が残るよう…修正しておきました。これで良かったかどうかは判りません。本物のダイヤとどう向き合って行くか、これからのユウカさん次第ですな。」
いつものファイルから付箋が1枚はらりと落ちる。
「おい…なんか落ちとる。お?なんじゃ?こりゃぁ?」
“ だいあもんどさしかえぱすわーど:curediamond55rikka ”

「あ…。なんでもありません、なんでも…。」
管理人は、父が拾った付箋を引ったくるようにもぎ取り、自分の懐に仕舞った。
「管理オヤジ、たまにはエエ仕事しよるやないかw」
「私は生前、設計屋でしたから。商売柄これ位たやすいことです。」
「ワシも阿漕な商売はしよったが、女は騙したことないぞ!騙されたことは有っても…」
「そのことなんですが…」
管理人は遮りながら、いつもの分厚いファイルを開けた。
「ユウカさんを戻すに当たって、今回も改ざん…いえ修正が必要でした。あの日、あの場所で死者が一人必要だったのですが。」
「だろうな?ワシん時と同じようにな」
管理人はゲフンゲフンと咳払いする。
「で、ですね、そのことで黒岩さんに会って頂きたい方が居ます。」
「お?」
ドアが開き、女性が一人立っている。
「…ユリコ?」

「ご無沙汰です…あなた。」
管理人は事の次第をかいつまんで話し、いつもの様にそそくさと退場した。
「お前がユウカの身代わり…じゃったんか?」
「はい。」
何とも言えない空気の中。
テーブルを挟んだ向こう側に座る、ユリコと呼ばれた女性…ユウカの母親が口を開いた。
「あの日、私の勤務先のリサイクルショップに、あの子が…。ユウカが来店したんです。
最初は、勿論わかりませんでした。何しろ、あの子が小さかった頃に別れて以来、一度も会った事は有りませんから…。

でも、カルテの名前と生年月日を見たとき、もしかしたら…?と思いました。
何やら、訳あり気な指輪を持ち込んできて、鑑定の結果に、物凄くショックを受けたみたいで…。
ふらふらと帰っていくあの子を追いかけたんですが、ショッピングモールの中、運悪く見失ってしまいました…。
急激に走った私は、息切れして胸が痛くなって…その場で倒れこんだ様です。
救急車で搬送中に心肺停止になって…。
そして、気が付いたらこちらのカラオケボックスに居ました。ここの隣の部屋です。

私は何故か…
“ 手違い ” でこちらに来たらしいので、帰るところでした。
そしたら、この部屋にあなたとユウカが居たので驚きましたね。
ドアの外で聞き耳を立てて、話を聞かせて頂きました。ユウカがそんな辛い目にあってたなんて…。
管理人さんを廊下でつかまえて、あの子がなんとか戻れないか聞いたんです。
あの日あの場所で、死ぬのは一人だけ、と言われたので…それなら、私にしてほしい…とお願いしたんです。
私は何一つ…あの子に母親らしいことは出来なかった。せめてもの…償い…です。」
「…そうか。」
「私は…あの頃誹謗中傷に耐えられず、あんなことをしてしまって…。
駆け落ちした人とはすぐに別れました。それから、ずっと一人です。今更ですが、本当に…ごめんなさい。」
「ワシは…手紙の返事を書けなくてすまんかった。気持ちの整理がつかんまま、ワシも死んでしまってのぉ。」

不思議なほど透明な時間が流れた。
静寂をかき消すようにインターフォンが鳴り、女性は受話器を取った。
「はい…。わかりました。今から出ます。」
そして受話器を置いて、かつての夫に向き合い、微笑んだ。
「じゃあ、私…もう逝きます。あなたもお元気で。」
「ありがとう…お前もな…。」
懐かしい面影が、ドアの向こうにゆっくりと消えて行った。
バイバイ、マイ・ラブ
ショッピングモールはランチタイムに入り、鬱陶しい位に賑やかだ。
私はリサイクルショップを辞した後、屋上階に上がり、晴れ渡った空を見上げていた。
空気が乾いてて気持ちがいい。手すりにもたれて、存分に深呼吸をした。
ダイヤは本物だったけれど、購入額の半分にも満たない提示額だった。それでも好条件らしい。

ショップの店長に買取を勧められたが、取りあえず、保留にさせてもらった。
色んなことが自分の身に起きて、頭の整理がまだ追いつかない。
ま先ずは落ち着いて。それから考えてみよう。
ニュースを見る限り、ヒロ君は逮捕されていない様だ。

私には本物を売ってくれたようだけど、電話で話した、あの女性のような被害者が他にも居るはずだ。
私は運が良かったに過ぎないんだろう。人を見る目がない私。
それでも、前に前に進んで行かないと、ね。
「そうや。元気出すんや。」
「え?」
ふと、耳元で誰かの声が聞こえたような気がした。
とっさに後ろを振り返ると、たまたま通りかかった子供連れの男性と目が合った。
「???」
「…あ。す、すみません。」
男性は3才位の女の子を肩車している。ツインテールの可愛い女の子だ。

男性は会釈して通り過ぎていった。
「ばいばーい」
女の子はにっこり笑って手を振ってくれた。私もつられてバイバイと手を振る。
2人の後ろ姿。
自分が小さい頃、こんな風にお父さんと出掛けたこと、あったっけ?
うっすらと記憶を手繰ってみる。うーん…。
ここで思い出したのも何かの縁だ。近いうちに、お墓詣りにでも行ってみよう。
屋上からは真っすぐな幹線道路がいい眺めだ。行き交う車は、思い思いのスピードで皆駆け抜けて行く。
手すりをぎゅっと握り返して、青い空を見上げていたら、救急車とパトカーのサイレンが近付いてくる。

「ん?何だろう?事故?」
屋上に居たお客数人が手すりに近付き、道路を見ようと必死だ。
みんな、ヒマなんだなあw。
私は野次馬達とは反対方向に歩き出し、屋上階を後にした。
罪ほろぼしと罰ゲーム
「ちょっ…!?レイヤ!有り得ないんだけど!!」
「待って、違う!これ、違うって!!」
「いやぁぁぁぁw恥ずかしいw一緒になんか歩けないって!」
「違うんだってぇぇぇぇ…。」
連れの女が逃げるように走り去って行った。
「なんで、こんなことに…?」
帽子で巧妙に隠したはずだったが、禿げ散らかした頭がバレてしまった。
「オレ…悪くねーよな…?」
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