8月も下旬となり、学生の夏休みも無慈悲に過ぎ去って行こうとしている。
残されたのは眩しい思い出と手つかずの宿題たち。なかでも「読書感想文」がうっとうしい。
どうして毎年の宿題メニューに存在するのか?自分も小学生時代から普通にあった。なぜだろう…。
読書感想文は皆の嫌われもの?

って言うとそうそう!と思う人間がほとんどだろう。
自分も作文の時間が大嫌いで、それでもナントカ書き上げた文章を、クラスの皆の前でけなした女教師のおかげで更にダメになった。
「これは悪い見本ですね!みんな、峰子さんのこの感想文を真似してはいけません。」← 今なら炎上案件だなw
これで読書感想文を好きになるわけがない。
教師の質にも依るが「ただ思った通りのことを書けばいいだけです」と言われても無茶なだけだ。
書き方、今風に言えばアウトプットの仕方を教えてもらってないから書けるわけないやん。
つまり、パソコンにデータを入力して、さあプリントしよ!って思っても、あれ?プリンターとどう接続すればよかったっけ?
接続できたら今度はどうやって用紙に出力して文字として可視化出来るのか?
アウトプットとはまさにこの「用紙に出力」の部分にあたる。
学校では「読書する=データの入力」までは教えてもその後の「感想文を書く=接続して用紙に出力」の仕方を教えない。
勿論教えなくても出来る子は居る。
その一方で最初は理解出来なくても、教えたら出来るようになる子もかなりの数は居るはずだ。
問題は出来ない子をそのまま放置して、苦手意識を大きくしてしまうことじゃないだろうか。

今の教え方はわからないが、自分の子供が「感想文ムズイ書けない」と言ってるので、今も昔もそう違いはないらしい。
相も変わらず学校が読書感想文をみんなの嫌われものにしたままだ。
出来の悪かった小学生・峰子は何年経っても感想文が上手く書けない。
そして不思議なことに進級すると上記の似たような女教師が担任になる→けちょんけちょんに貶される→益々感想文が嫌いになる→担任に嫌われる。素晴らしき負のスパイラルである。
あの時代はエコヒイキなんか珍しくなく、と同時に気に入らない生徒にはあからさまだった。今なら確実に拡散され100%炎上だろう。
でもある時気が付いた。上記の女教師を文字通り半面教師にしたのだ。
「嫌いなものは大嫌い」作戦を編み出した。そういう意味では歴代の担任達に感謝かもしれない。
それなら、自分が実践した「 嫌いなものは大嫌い 」大作戦を書いてみよう。
読書感想文に登場人物の悪口を書いてみよう
高校の古典の自習時間で「光源氏」について思うことを書け、というなんとも超アバウトなお題が出た。
有名過ぎる古典文学の主人公で説明不要の国民的キャラクター。しかもモテモテのイケメン設定なので女子は書きやすいお題だ。
しかし、当時自分はイケメンではなく脇役の年上マッチョな「髭黒大将」がお気に入りだった。これでは既定の5枚が埋まらない、どうしよう…。

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クラスの皆は「カッコイイ上に賢くて王子様とか凄い!」「結婚相手だと大変だけど恋人ならいい」「こんな人と恋に落ちたい」等のほぼベタ褒めの内容ばかりだった。
当時、アイドルだと田原俊彦や近藤真彦らのジャニーズが大人気で、それ以外のジャンルなどあり得ない時代。
なのでチョイ悪の「光源氏」は貶される要素ほぼ皆無。でも自分はオッサン好みだったので
「光源氏は大嫌い!モテるのをハナにかけておかしいんじゃないか?現代ならこんな男はフルボッコにされるべき!我慢している嫁もおかしい」
という内容を書き出した途端スラスラと筆が進みあっという間に5枚を埋めた。
他人の悪口で盛り上がるのはそういうことなんだろう。責任いらんし。
ましてや古典キャラなら作者になんの遠慮もいらないし、名誉棄損で訴えられることもないだろうから安心だ。
女子高生にしてはあまりにも辛辣な文章だったらしく、後日先生から返却の時に「こういうのを書いたのは峰子さんだけ」と苦笑いされた。
人間、否定的案件・反論物件に出くわすと「おや?」っとなる。場合によっては興味を持ってくれるかもしれない。
国語教師は一癖あるから非凡な目の付け所を低評価にはしないだろう。
読書感想文にはテンプレートがあるのか?

実はテンプレートは存在する。と勝手に思っている。じゃあどこに?と言われれば、ググれば意外と出て来る出て来る。
それじゃあ答えになっとらんと叱られそうなので、自分の意見を述べてみる。
宿題の読書感想文の提出先は100%学校である。小学校だと担任だったり、中学校以上だと国語担当教師だろうか。
そんな当たり前のことを何故わざわざ書いたのかというと、先生だって感情を持つ一人の人間。好き嫌いもあるということだ。
あんまりな言い方だが、先生ウケする内容を書いとけば無難である。
小学校の先生に提出するなら
「私は優しい主人公が大好きです。素晴らしいと思いました!私もこんな人になれる様努力して頑張ります!」
という内容なら文章が上手でなくとも及第点はもらえるはずだ。
こういう頑張ります系なら、だいたいの感想文にプラグインとして使えるだろう。

しかし、中学高校だとこの作戦はやや苦しい。
中学高校の国語担当教師は一癖あるので上記の文章だと「小学生かよ!」と突っ込まれる可能性が高い。
なので上記の「大嫌い」作戦で自分は毎年乗り切った。
逆にこの作戦は小学生には使えない。
使えなくもないが確実に「小学生らしくありません」「お母さんに書いてもらいましたね」と言われるのがオチだ。
桃太郎の感想文に「きびだんごをエサに味方を作るのはずるいです」「日本一と書かれたはたを持つのはへんだと思います」「ももたろうがきらいです」
なんて小学生が書いたら…面白いけど却下されそうだ。
読書感想文の読書感想文

小学校低学年の時に夏休み用の冊子で「昭和✕✕年度 読書感想文 優秀作品集」なるものが配布された。
つまりは過去に入選した感想文を読んで参考にしなさい、という意図だろう。
中をめくると1年~6年の学年別に分かれており、低学年の自分でもまあまあ分かりやすい冊子だった。
今でもよく覚えているのが「ポケットのないカンガルー」の感想文を書いた女の子のページだ。
この題名かどうか忘れてしまっていたが「カンガルー エプロン」で検索すると難なく判明した。便利便利。
絵本の内容は省略するが、その女の子の書いた一文はまさに上記のソレである。
「主人公の様になりたいので頑張ります」に加えて
「主人公はゲットした幸運を独り占めせず皆にも分けてあげたので、私はとても感動しました!私なら独り占めして見せびらかしたと思います」的な文章が書かれてあった。
この一文には「素直な気持ちが書かれてていいですね」と編集者よりレビューされてあった。
「頑張ります」+「でもちょっとダメな自分」を程よくミックスして嫌味のないこの感想文は、低学年ながらハイレベルだ。自虐要素を加えるとか…。
だから50年近く経った今でもよく覚えている。この女の子、もう自分と同じアラフィフかアラ還なんだろう。そう思うと妙に切ない。
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