嵐を呼んだオンナの子

人生・体験談

以前、別章でオンナの世界にまつわる面倒くさい関係を記事にしてみた。今回はその後日談。

男性諸氏はオンナのドロドロなど興味ないだろうが、女性の大変さをわかって頂けたら幸いに思う。苦手な方はそっと飛ばして頂きたい。

別章はこちら ↓

オンナたちは今…

時系列でいうと今回の話は…

以前アルバイトをしていた会社で、自分が仲良かった庶務課の同僚女性二人(B美・C奈)と何となく気まずくなる→自分が色々あって退職する、までの期間だ。

2人と気まずくなった原因はただの「ヤキモチ」。B美がお気に入りの男性社員・Y田君と自分の仲を疑い、涙ながらに訴えてきたので彼女らとはしばらく距離を置いた。

無論、日常の挨拶や業務連絡とかでは事務的に接していたが、それ以外の世間話や私的なおしゃべりは一切なくなった。

それから何日か経つと今度は自分に変化が起こった。あれほどイヤで仕方なかった二人の姿を見ても、何とも思わなくなってきたのだ。

それが向こうにも通じたのか、以前ほどではないが自然と仕事以外の会話もぽつぽつ出来るようになってきた。冷戦は約1ケ月くらいだったろうか。

なので、距離を置いたのが良かったようだ。雨降って地固まったのか、まあまあ元に戻った。

B美の相変わらずネチネチした物言いはそのまんまだったが、本当になーんとも思えなくなったので、不思議としか言いようがない。

別に自分から「全て水に流そう」「良いところだけを見てあげよう」「完璧な人などいない」っていう心境になったわけでもない。

何故気が変わったのか本当に分からない。トシを取った分、雑念を取っ払って悟りの境地に達することが出来たのだろうか?

とにかく心の平穏が戻ったので良かった。…と思ってたんだ、この時も。

オンナは常に戦闘態勢

その頃、時期外れだが新入社員1名が庶務課に配属されてきた。Sさん、20代半ばの女の子。自分が時短勤務になったのでその穴埋め要員として中途採用されたようだ。

その女の子、「エリカちゃん」と書いておこう。エリカちゃんは可愛らしい顔立ちに加え女子力高く、たちまち男性陣のイチ推しになった。

某元?美人女優に似てて、ちょっと小悪魔的な雰囲気なので誰からともなくニックネームで「エリカちゃん」と呼ばれるようになった。

本人もそれを意識してるのか「よく言われますぅ」と女子力をバンバン振りまいてた。

どうでもいい話だが、自分なんかだと「ミチコ~」と呼ばれる事がたまにある。自分の名字、某美人女優のK美智子に微妙に似ている。

それだけの何とも単純な理由なんだが、丁度その頃、K美智子主演のドラマが流行っており、誰かが言い出して何となく定着してしまった。残念ながら顔面はまるで違う(溜息)。

エリカちゃん 、性格はいい子だったんだが、なんというか…天然?いや自意識高いのか会話の節々で、相手をこっそりディスり、自分をひっそりと上げておく子だった。

自分、昼の弁当のオカズに昨日の残り物をごっそり入れるのがほぼ毎日だったんだが、それを目撃したエリカちゃんは

「え~、峰子さんって食べ物無駄にしない人なんだ~。すごーい!私だったらそんなの無理無理~。やりくり下手だしぃ。昨日のオカズとか食べらんなーい。」

って褒めてるのか貶してるのかわからない言動が多々あった。

最初のうちは天然なんだなーと思って皆もあまり気にしてなかったが、男性の前だと態度がコロッと変わる変わる。

そうなると、庶務課の主婦たちは共通の話題としてエリカちゃんを議題に挙げる。要はただの陰口。

「おとなしい顔してるけど、ありゃあ男を手玉に取るタイプ」

「男が居る時は一所懸命に忙しいフリして働いてるけど、居なくなった途端にトイレで化粧直し」

「皆が言うほど似てるかなあwでも本人はめちゃめちゃ意識してるもんねー」

「ここんとこ、当日欠勤多くない?どうせ休むなら前日に言えよ~。」

と言われ放題だった。まあそう言われても仕方ない要素満載だったので、自分も皆の話題に「へー」って適度に合わせていた、この時までは平和だった…。

オンナは涙でロックオン

そしてエリカちゃんは案の定嵐を起こした。しかも自分に向けて暴風雨を起こした。なんでだよ…。

ここでまたモテモテY田君が登場する。どんだけ人気者なんだだろうか。

ある日、Y田君が「峰子さん、ちょっと…。」ともの言いたげな顔で尋ねてきた。

ただならぬ表情だったので「Y田君と倉庫に言ってきまーす」と言って一緒に庶務室を退出し、倉庫で話をした。そこで仰天の内容を聞くことになる。

自分「アタシとY田君が付き合ってる?…って?は?」

Y田君「エリカちゃんが泣きながら聞いてきました…。」

要約すると、エリカちゃんは何故か自分とY田君がデキてると思いこみ、これまた何故か対抗意識が芽生えてY田君に告白してきたそうだ。

いやいや。意味がわからん。てか、エリカちゃん、Y田君のこと好きだったんか…。

「で、なんて返事したの?」

「無理無理、ごめん、とだけ。あと、峰子さんについては完全に誤解、って」

「そりゃそうだ」

B美じゃあるまいし、なんでそうなるのか…。それにY田君には美人妻がいるし、自分は完全なオバチャンだ。付き合う要素が皆無すぎる。

「でもなんで、誤解されたんかな?最近アタシは時短勤務で、Y田君と遅くまで一緒に残業することもなくなったし。」

「たぶん、エリカちゃんはK美智子にこだわってるかも?です。」「???」

Y田君によると、先月の「エリカちゃん歓迎会」の時に席が偶然隣り合わせになり、色々話をしたそうだ。趣味や好きな映画とか。

で、好きな芸能人の話題になり、Y田君「女優のK美智子のファン」て答えたら、たまたま近くに居た庶務課長が

「ウチの課にもミチコが居る居る♪ほぉ☆さてはY田、あのおばちゃん狙いかw」と茶化したそうだ。自分は席が遠かったので知らんかった…。

…しかし、課長。オマイからおばちゃん呼ばわりされる筋合いはない。余計な事言うな…。

自分「課長、K美智子とか判ってんのかな?」

Y田君「課長、相当飲んでましたから、もう覚えてないと思います…」

というヤツの非常に余計な冗談で、エリカちゃんはとんでもない勘違いをしたようだ。…なんというかオンナの誤解は不可解すぎる。

つまりだ。エリカちゃんのなかでは…Y田君が 「某美人女優のK美智子」のファン、イコール「ミチコ」と呼ばれるオバサン峰子推し!→という不可解な図式が成立したワケだ。無茶苦茶すぎる。

たまにだが庶務課の皆がからかって「ミチコ~ミチコ~」って呼んだり、昨日のドラマ良かったやーんとかソレっぽい事言うし…。そんな冗談を本気で聞いていたんだろうか…。

それ以来、エリカちゃんはY田君にロックオンらしい。彼女、男性なら誰でもイイというわけでもないようだが、妻帯者はいかんじゃろ…。

そして昨日、帰り道に待ち伏せして告白。すでに涙目だったそうだ。

「私が本当に好きなのはY田さんだけっ!峰子さんなんかの何処がいいんですかっ?あの人、オバサンじゃないですかっ?」

そこまで詳しく言うなY田…。

自分が女優K美智子に似てるのは名字だけ。顔面は似ても似つかんのだが…。やりきれん。

オンナの疑惑は嵐の前ぶれ

そんな会話の後だったので、ウチらは時間差をつけて庶務室に戻った。そしたら、当のエリカちゃんが何やらコピー機と格闘している。通り道でもあったから一応声をかけてみた。

「またコピー機、調子悪い?」

「あ…峰子さん」

古い型式なのでしょっちゅう紙詰まりやエラーになる。自分も最初の頃はよく手こずったもんだった。このコピー機、昭和のテレビじゃないが、衝撃を与えると意外とリセットされて元に戻ったりする。

「ちょっとうるさいけどごめんね」

と前置きして、用紙を入れるトレイを一旦引き抜き、勢いよく押し込んだ。けっこうな音が室内に響いたので、皆が一瞬ビクッっとなる。

そしたら何秒かのちにリセット音が流れ、通常モードに戻ったようだ。一件落着。

「エリカちゃん、元に戻ったみたいよー。」

「…峰子さ…ん。怖…い…。」

と、エリカちゃん何故か涙目で逃げて行ってしまった。ん?何が起こったんだ…?

それから何時間か経ったけど、エリカちゃんの姿が見当たらない。皆も知らないようだ。そんな状態で室内がざわついてると

「峰子さーん、人事課が来て下さいって」と招集がかかった。ん?何だろう。てか、全く予測しない事態が起こった。

オンナが女優になる瞬間

自分「私がエリカちゃん、いえ、Sさんにモラハラ…???」

人事課の別室で自分・人事課長・庶務課長の三者面談。どうもさっきのコピー機の件で、エリカちゃんがすっかり怯えて早退したらしい。意味不…。

自分、あまりにも不可解すぎて動揺しつつも、なんとか弁明した。

確かに彼女に対して例のモヤモヤは有ったが、コピー機の件とは関係ない。あの場に居た皆に聞いてくれと反論した。モヤモヤの件は話す必要無いのでカットしたが。

一応、課長らは自分の言い分を聞いてくれた上で

「このご時世、パワハラモラハラに対して企業は皆敏感になっとる。そんな些細なことで?と思っても言ったもん勝ちの時代なんだな、今って…。」

課長らは自分より少し上の世代だけど、パワハラモラハラなんてない時代で育ってきているので、その辺は痛いほどわかる。

しかし、さっきの一件がハラスメント?全くもって理解が出来ない。自分がおかしいのか?

庶務課長「Sさんは泣きながら、こんな怖い思いをしてまで働きたくない、って言ってるので、辞めてもらっても構わんかったが…。」

社長から待ったがかかったそうだ。どうやら、エリカちゃんは社長知人絡みの縁故入社だったらしい。道理で時期外れなのに正社員として採用されたわけだ。

自分「じゃあ私はクビになるんですかね?」

課長ら「いやいや…そんな事は言っとらんが…。」

課長ら2人共、自分とエリカちゃんをどう扱えばいいのか困ってるようだ。何のための課長なんだか…。

エリカちゃん、陰口の通り当日欠勤が多くて庶務課のお荷物的な存在だったが、社長絡みとなるとあまりぞんざいには扱えないしな…。この場合、自分を切った方が丸く収まるんだろうな。

正直、もう辞めてもいいか的な心情だった。あまりにもアホらしくて、付合いきれない。

でも、たかがバイトといえど自分から身を引くのはなんか納得がいかない。じゃあクビ?会社的には解雇措置は余程の事がない限り出来ないはずだ。

となると自分をジワジワ追い詰めて自己退職に追い込むのか??その手には乗ってやらん。

うーん。かと言って無駄に時間が経って状況がこじれると、最終的に不利になるのは自分かもしれない。それも困る。それなら自分から提案して時間を稼ごう。

自分「しばらく休ませて下さい。色々有りすぎて疲れましたから…」

と長期休養をゲット。これは心からの本心だった。B美らの件以降めちゃめちゃ疲弊してたのは本当だったし。

課長らはホッとしたように快諾した。やっぱり困ってたようだ。自分も動揺してて今は冷静になれないので、会社の出方を見つつ休養する方がいいかもしれない。

労働法ではこんなワケのわからん事情で、雇い主が従業員を解雇することはまず出来ない。が、それは建前だ。今、この瞬間にも理不尽な退職劇はあちこちで繰り広げられているはずだ。

…それにしても、庶務課長。オマイにも責任あるぞ。酒の席で下らん事言うからこういうことになったやんか、と課長のアホ顔にめがけて心で呟いた。

回転の悪い頭を更にフル回転させたので、ただただ疲れてしまった。

オンナたちの未来

それから。

初めに書いた通り、自分は退職する事となる。エリカちゃんの件は関係ない。自分の健康上の理由なので自己都合だ。

きっと神様から「休め休め」とお告げが来たんだろう。

渦中のエリカちゃんも程なくして辞めたそうだ。噂では出来婚するらしい。フラれたことで次の出会いを生んだようだ。Y田君、ホッとしただろうなw。

会社という集合体の中で生まれる生きづらさは、男も女も関係ない。その時その時代の空気が壁となり、巨大な敵となるようだ。

半世紀以上生きてきたが、平均寿命までまだまだ有るw。このトシになると「人生なるようになる」が全てかなと思う。

どんなに頑張っても報われない時もあるし、特別努力したわけでもないのに何故か丸く収まる事もある、という人生あるあるだ。

幸運を掴める人はこの「なるようになる」の見極めが、飛び抜けて卓越してるんだろう。無駄に時間や労力をすり減らさずに済むもんなあ。自分も虎視眈々と見極めて行きたい。

♀として生まれた以上そのメリットも活かしつつ、安らかな晩年を期待したい。


切ないラブストーリー

エリカちゃんはやっぱり可愛いなあ…↓↓↓

【 Amazon プライムビデオ 】 

映画「クローズド・ノート」2007年 日本

Amazonaプライム会員は有料(年額¥4,500 or 月額¥500)だが、初回又は一定期間利用のないユーザーなら無料体験期間(30日)を使ってお得に視聴できる。

コメント